ラサの夏祭り・ショトン祭り
チベットの都・ラサでは1年を通じてさまざまな祭りが催される。その中で最もしられているのが、毎年、夏(チベット暦6月30日)に開催されるショトン祭り。ショトンとは、もともとヨーグルト宴席のことを意味した。チベット仏教ゲルク派の始祖ツォンカパの定めた戒律によって、春から経堂にこもって修行していた僧侶たちの修行明けに、一般の人々がヨーグルトを供したのがこの祭りの起源とされている。
ショトン祭りは、デプン寺のタンカの開帳から始まる。タンカの開帳は夜明けとともに行われるためまだ暗いうちに寺へと向かう。夏とはいえ夜明け前のラサはけっこう冷め込む。この日だけは、ジョカン寺前の広場などで、真っ暗なうちからデプン寺行きの小型バスで寺の門前まで楽に行ける。
デプン寺の西側山腹に設置されたタンカ台周辺では、すでに大勢の人がタンカの開帳を心待ちにしている。寒くて暗いせいもあって、ときの経つのがやたら遅く感じられる。やがて、ようやく東の空が明るくなった頃、チベットタンホルンが山々に響き渡り、タンカが数十人の僧侶の肩に担がれて境内から姿を現すのだ。巻かれた状態の巨大タンカは、まるで龍のように体をくねらせて山道を上る。タンカが台の上に掲げられ、いよいよその姿を現す。あちこちで護摩が焚かれ、その煙でタンカ周辺の空気が白く煙っている。徐々にタンカが開かれる。そして巨大な仏が目の前に全身を現した時、会場の興奮は最高潮に達するのだ。チベットでも屈指の大きさを誇る巨大タンカ。信心深い人々は、少しでもタンカに触れてご利益を得ようとその周りに殺到する。一心不乱に祈る人もいれば、タンカにむかって五体当地を繰り返す人もいる。山は騒然とした雰囲気に包まれる。こうして数日間にわたるショトン祭りの幕が上がるのだ。
デプン寺で巨大タンカを見た後、人の流れはセラ寺へと向かう。セラ寺のタンカを拝むためだ。両者の間には10㎞ほどの距離があるが、デプンの山を下りで幹線道路に出たあたりで、何らかの交通機関(バス、トラック、タクシーなど)が見つかる。慌てなくても午後の遅い時間はある。セラのタンカは、デプンのタンカと比べるとずいぶん小ぶりではあるが、それでもタンカ周辺は、次から次へとやってくる巡礼者が絶えることはない。
祭りの2日目からはノルブリンカで、アチェ・ラモ(チベッタン・オペラ)が開演される。アチェ・ラモの華やかな舞踏を見ようと多くの人が詰めかける。11:00頃の開演が多いようだが、地元の人は早くから来てござを敷いて場所取りをしているので、少し早めに出かけたほうがいい。普段は静かなノルブリンかが、この期間は人で埋まり、さまざまな屋台が数えきれないほど立ち並ぶ。
ラサの夏の風物詩であるショトン祭り。最近はずいぶん観光化されてきたような気もするが、とりあえずチベットへの入問編としては欠かせない祭りだ。
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