人民元上昇の利害得失を正しく評価する(2)
現在、外貨は本当に供給過剰なのだろうか。この問いに答えるには、少なくとも次の2つの要素を見落としてはならない。一つは、人民元が資本収支において外貨に両替可能かどうかという点。もう一つは、中国の外国為替市場が完全に開放されているかどうかという点だ。これらは外為市場の需給関係を評価・判断する上で外せない二大要素だ。人民元が資本収支において外貨に両替可能であるということは、国民の資産を外貨建てにできるということであり、言い換えれば、国民が自分の資産をどの外貨建てにするか自由に選択できるということだ。また外為市場は完全に対外開放されていてはじめて、世界の外為市場の一部分になることが可能だ。外貨の需給は本来、世界の外為市場の動きに連動すべきものであり、外為市場が完全に対外開放されてこそ、需給関係はより真実を反映した効率的なものになる。
実際中国では、資本収支において人民元を自由に両替できない上、外為市場はまだ完全に対外開放されていない。このため、中国外為市場の需給状況は人為的にねじ曲げられたものとなっている。特に目立つ点は、貿易黒字と資本黒字が絶え間なく中国に流入する一方、外貨の流れは峻険な山の一筋の登山道のようにか細いことだ。流入外貨は決算の後、経常収支として扱うほかなく、肝心の資本収支は厳格な行政審査の壁に阻まれて入り口がふさがれている。このため絶えず流入する外資を受け入れ、人民元相場を安定させるために中国人民銀行(中央銀行)が取りうる唯一の手段は、国内市場にあふれた外貨をひたすら買い上げ続けることだ。外貨が急増すれば、人民元投入圧力が高まるためだ。こうして、外貨準備が耐えず増加し、管理コストとリスクが増大する一方、人民元は過剰に流動し、投機マネーが激増し、ひいては経済の過熱化と資産価値のバブル化がもたらされることになる。

