人民元上昇の利害得失を正しく評価する(3)
こ こからわかることは、人民元上昇は中国の現行の外国為替管理体制における当然の結果だということだ。資本収支において人民元と外貨とが両替できず、国民は外貨建て資産をもつことができない以上、生産・経営活動以外で生じた「余分な外貨」は、政府が「収蔵」する以外に選択肢がない。国民の外貨ニーズは経常収支の枠にとどめられており、国民に外貨を保有させるには資本収支に組み込むことが最も効果的であるにもかかわらず、国民には一切の選択権が与えられていない。よって中国の不完全な外為市場における、いわゆる「外貨の供給過剰」というのは、実際には行政的手段を通じて国民の外貨ニーズを強制的に凍結した上での供給過剰に過ぎず、これを人民元上昇の確かな理由とするのには無理がある。
2006年下半期から現在まで、人民元上昇の歩みは目立って加速してきた。今年1月11日には、銀行間市場の対米ドル基準値が初めて1ドル=7.80元の大台を突破して7.79元台に突入し、05年7月の人民元レート形成メカニズム改革スタート以来の新記録を更新した。改革前に比べ、対ドルレートは約5.79%上昇したことになる。しか米国や日本などはこれで満足せず、人民元上昇は一つの突破口に過ぎないとして、引き続き人民元の両替の完全自由化や外為管理制度の撤廃、資本市場の完全開放などを中国に求めている。
だが中国はつまるところ「経済大国」に過ぎず、「経済強国」ではない。人民元上昇の問題については、かつての「日本円への上昇圧力」の例を参考にすべきだ。国の利益を重んじ、むやみに悲観せず、楽観もせず、人民元上昇の利害得失を正確に評価し、理性的に考え、科学的に政策決定し、冷静に対応することが必要だ。

