<湟中(こうちゅう)について...>
青海省の東北部。湟水流域。タール寺で知られる。
<湟中の見所>
タール寺
西寧から西南へ25キロ。ゲルク派の創始者であるツォンカパ(1357~1419)の生地であることを記念して1560年に建てられた。チベット名ではクンブル寺。クンブルとは十万仏の意で、ツォンカパの生地に生える菩提樹の葉の一葉一葉に仏が宿っているという意味で、こう名付けられたという。
中国名の塔爾寺は、ツォンカパを記念して建てられた本殿である大金瓦寺の大銀塔にちなんで付けられたという。大銀塔にはツォンカパの遺物が納められているツォンカパは青海省・アムド地方のツォンカに生まれたためこうよばれる。七歳で出家。サキャ派の僧の教えを受け顕教と密教をともに修める。十一世紀のインドの学僧アティシャが唱えた、覚りに至る道筋を帰依、発菩提心、菩薩戒、般若行、密教の順にとらえすべての修行法やすべての哲学を一つの修行階梯のうちに統合する思想を元に、様々に分裂をしていた当時の宗派の教えを統合する哲学大系を打ち立てた。
アティシャを祖とするカダム派の厳格な戒律主義をよりどころとしてことで、、堕落していた従来のチベット仏教と激しく対立し、彼らの紅帽と区別するために黄色い帽子をかぶった。そのため彼の教えを継ぐ派を黄帽派という。
タール寺は、チベット仏教ゲルク派(黄帽派)の六大寺院のひとつに数えられる。他の五つは、チベットのガンデン寺、セラ寺、デブン寺、タシルンボ寺と甘粛省のラブロン寺である。
年に四度の大法会が行われる。旧暦の一月四月六月九月。それ以外に小法会が二月と十月。法会とはラマ憎が法を説き、仏を供養するなどのために行われる行事であるが、タール寺ではそれに加え、仮面踊り、タンカ晒し、バター細工の展示などが行われ、多くの信徒を集める。
★タール寺三絶(たーるじさんぜつ)
タール寺が誇る三つの優れたものを「タール寺三絶」という。バター細工、タンカ、堆繍と呼ばれる刺繍の一種の三つである。
バター細工というのは、様々な色のバターで仏像、人物、草花、動物を造る。題材を宗教説に採ったり、人々の日常生活に採ったりする。
色は、ヤクや羊の乳を煮詰め、先ず、白いバターを造る。それに、鉱物質の顔料を加えて、赤、青、黄などのバターを造る。色の鮮やかさ、細工の精緻さ。とてもバターには見えず、見るものをアッと驚かせる。
タンカとは布製の幕に描いた仏画である。寺院や屋内の祭壇に掛けられ祈りの対象として使われる。綿の織物に鉱物質の顔料で描かれることが多い。鉱物質の顔料は色が褪せないという特徴があるためである。タール寺で有名なのは、大タンカ。幅五十メートルを超える大タンカが、旧暦四月の大法会の時に、山の斜面に掲げられる。
堆繍というのは、立体的な刺繍。絹製の布に羊毛や綿を詰めて形を作り、布製の幕に縫いつけ、仏像や草花、動物などを描いたもの。
大金瓦寺(だいこんがじ)
1560年の建立。タール寺で最も古い建物。殿内に高さ11メートルの銀の仏塔がある。大銀塔という。ツォンガパが生まれたとき、母親が臍の緒を埋めたところ、菩提陶が1本生えてきて、やがて十万枚の葉をつけた。見ると、どの葉にも仏像が一体ずつ描かれており、母親は敬愛の念からそこに小さな塔を建てた。その小さな塔を基礎にして後世建てられたのが大銀塔であり、それを中心に形成された寺院がタール寺である、という。
大金瓦寺の面積は450平方メートル。青海のみならず、甘粛、四川、雲南、内モンゴルなどからの参拝者の列が絶えることなく大殿の前で五体投地を繰り返している。大殿の前には松の木のすのこがが敷いてあるが、すり減るため二年に一度は取り替えなければならないほどである。
大経堂(だいきょうどう)
1606年に建立。面積は2000平方メートルほど。朝の勤行が行われるのはここ。かつては四千人の僧がいたが今は七百名ほど。
周囲には棚がめぐらされ何百という経典が積まれ、仏龕には精巧に鋳られた銅製の仏像が千体以上安置され、荘厳な雰囲気を醸し出している。初期(明代)の建物は火災に遭っており、現在の建物は1917年に再建されたもの。
前に広場があり、大経堂広場という。現在いる七百人の僧のうち百名は学僧であるが、チベット仏教を学ぶ過程においては、「問答」というのが重要視される。一人が一人に問いかける。問いかけられたものは、それに答える。「発菩提心とは」とか。学僧がクラスを登っていくための試験も先生との「問答」の形で行われる。
学僧が「問答」を行っているのが、この大経堂広場である。
小金瓦寺(しょうこんがじ)
建立は1631年。タール寺の護法神殿。タール寺を護る護法神が祀られている。パンチェン・ラマ9世がチベットから青海にやってきたときに乗ってきたといわれる白馬の剥製も置かれている。
小花寺(しょうけじ)
1717年の建立。タール寺の中では比較的新しい建造。長寿殿ともいう。殿内は精美な彫刻と絵画で装飾され、釈迦牟尼、十八羅漢、四大金剛などの塑像が安置されている。
中庭にの菩提樹の木が植えられており、夏になると淡黄色の小花をいっぱいに着け、周囲は芳香で満ちあふれる。小花寺という名の由来でもある。
大厨房(だいちゅうぼう)
かつて四千名の僧が毎朝勤行をしていた。勤行の後に必ず、バター茶を供する。その四千名のバター茶を煮るための厨房である。
なかには黄銅製の大鍋が五つある。口径は1.65~2.6メートル。深さはO.9-1.3メートルである。この大鍋を見るだけでも往時、この寺が持っていたエネルギーを感じることができる。
*青海省の観光地*
西寧,湟中,青海湖,楽都,同仁県,玉樹