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ウルムチ

<ウルムチ(烏魯木斉)について...>
 ウルムチは新彊ウイグル自治区の区都。
 新彊ウイグル自治区の略称は「新」。中国の西北部に位置し、所謂「西域」に属する。中国の支配権が及ぶようになったのは漢。武帝の時代、西域都護府を置いてからである。唐代には北庭都護府と安西都護府が置かれた。新彊と呼ばれるようになったのは、清朝の光緒年間に新彊省となってから。新彊ウイグル自治区の成立は1955年。 
 中国31の省・自治区・直轄市のなかで最も面積が広く、全国の六分の一を占め、日本全土の四倍をこえる。
 一番多い民族はウイグル族。人口の半分を超える。他には、漢族以外、ハザク、回、キルギス、蒙古、シボ、タジク、ダフル、ウズベク、満州、タタール、スラブの11の少数民族が暮らす。
 自治区全体が大陸性気候に属し、年間降水量が25-100㎜で乾燥をしている。また、一年を通じての気温の変化は激しく、夏は35度をこえる日が続く一方、冬には寒さが厳しい。同時に、一日の中でも温寒の差は大きく「朝には綿入れ、昼には半袖、夜は火鉢を抱えてスイカを食べる」などと表現される。
 漢王朝以来、東西の交通路が開かれ、人や物の往来のみならず、宗教、文化の通り道となった。そのため多くの史跡を残す。 ウルムチは比較的新しい街で、18世紀の後半、清朝のジュンガル部遠征以降、ここ(当時の地名は迪化)を西域管轄の中心にしてからのことである。上に述べた新彊省の成立はこのことをいい、1884年のことである。
 ウルムチとはモンゴル語で「美しい牧場」の意味であるが、ウルムチと名付けられたのは、1952年のことである。
 また、ウルムチはしばしば、「海から最も遠い町」などと言われる。東の黄海からも南のベンガル湾からも北のカラ海からも西のアラビア海、バルト海からも2300キロ以上離れている内陸の中の内陸である。 

<ウルムチの見所>
新彊ウイグル自治区博物館
 
 ウルムチ市西北路にある。新彊ウイグル自治区で最大の博物館。建物自体にウイグルの特徴を持たせている。屋根は、緑色の円形ドーム。正面の外壁にも、内壁にも白い石膏で民族的な装飾が施されている。
 展示は、「歴史文物陳列室」と「民族民俗陳列室」と「ミイラ陳列室」に分かれている。
 特に印象に残るのは、「ミイラ陳列室」。楼蘭、トルファンなどから出土されたミイラが十体ほど展示してある。なかでも有名なのが楼蘭の美女。
 楼蘭は、シルクロード上のオアシス国家。史書へ登場するのは紀元前一世紀。匈奴の王が漢の皇帝へ宛てた書簡の中で、自分が支配する西域の国々の中のひとつとして言及しているのが肇である。その後、最盛期を迎えるのは三世紀。西域南道の東部を支配し、東西交易の要衝として栄える。
 やがて中国の王朝の支配を受けることになるが、七世紀を最後に全ての記録から姿を消してしまう。
 その楼蘭が再び、人々の前に姿を現したのは、二十世紀。スウェーデンの探検家・ヘディンにより遺跡が発見されてからである。 
「楼蘭の美女」とは1980年に楼蘭の遺跡から発掘された女性のミイラである。埋葬の時期は紀元前1000年。45歳、157cm、O型。顎のやや尖った細面の顔だちで大きな眼をもつ。髪の毛は明るいブラウン。人種はヨーロッパ系。足には鹿の皮の靴を履き、頭には、鳥の羽根をさしたフェルトの帽子をかぶっている。
「民族民俗展」では、ウイグル族のほかハザク、キルギスなどの民族の住居、衣服、生活様式などを示す展示がされている。特に衣服については、それぞれの民族が持つそれぞれの色彩感覚が鮮やかに表現されていて興味深い。 

紅山(こうざん) 
 市の中心部にそびえる。市のシンボル的存在。岩肌が赤褐色をしているので紅山という。最も高いところで標高910メートル。登ると街全体を眺望できる。
 頂上に玉皇閣と高さ八メートルの鎮龍塔がある。鎮龍塔は氾濫を繰り返すウルムチ河の龍を鎮めるために建てられた。 

バザール   
 西域の街の楽しみとしてバザール見学がある。長い顎髭に男たち、鮮やかな民族衣装をまとった女たちを見ているだけでも楽しい。
 同時に、市場に所狭しと並べられた品々。麻の袋に詰められた色とりどりの香辛料。ナイフ。楽器。丸ごと裸で吊された羊。
 西域の活気と異国情緒が私たちを包む。 

ウラノール古城(鳥拉泊古城) 
 ウルムチの市街の南10キロ。唐代の輪台城とされる。輪台城とは、異民族との戦いの最前線であった城である。現在では城壁が残っており、東西480メートル、南北550メートル、高さは4メートル。
 城内からは、陶罐、蓮花紋様の方磚、壺、古銭などを出土している。唐に始まり、元の時代まで使われていたと考えられている。 
 ウラノール古城の東北二キロ、ウラノール・ダムの南斜面で古墳が発見された。1983年に発掘調査が行われているが、発掘されたのは46基。石棺墓と土坑墓がある。金製の耳飾り、銅鏡、陶器、小鉄器などが出土している。時代は、紀元前二、三世紀。サルマタイ系車師人のものと考えられている。  

天池(てんち) 
 ウルムチの東110キロ。ボゴダ峰の中腹にある。ボゴダ峰の標高は5445メートル、また、天池の標高は1980メートル。水の色は青々としていて、万年雪を戴くボゴダ峰と、それに抱かれるように広がる湖の取り合わせには鮮烈な美しさがある。
 中国の神話にしばしば登場する女神に西王母がいる。住処は崑崙山。伝説に、周の穆王が西に巡狩した時、西王母は瑶池で宴を開きこれをもてなした、とあるが、地元では、その瑶池が天池であると言う。
 辺りは深い森が続くが、森の中に点在する草原にはカザフ族のパオがある。 

南山牧場 
 ウルムチから南へ75キロ。天山山脈の北麓に広がる高原が南山である。広々とした草原とそれを横切る幾筋もの渓流がある。渓流は天山の雪解け水。
 カザフ族の放牧地である。草をはむ羊の群れと、馬に乗りそれを追う若者。遊牧の世界にしばし浸ることが出来る。
 南山で最も美しい風景と言われるのは、西白楊溝。水量ゆたかな滝がある。高さ40メートル、幅2メートル。緑の木々を縫うように一筋の白滝が断崖をなだれ落ちる。 

アラ溝木槨墓(アラ溝 もくかくぼ) 
 アラ溝は地名。槨は棺の外側を覆う外棺のこと。竪穴式の墓室があり、そこに松の木で組まれた槨があり、そのなかに木棺がある。
 場所は、ウルムチし南山区。1976年から発掘が始められ85の墓が発掘された。そのうち木槨墓は六基。一~二名ずつ合葬されている。副葬品には陶器、金器、銅器、漆器、絹織物、真珠、羊骨などがあるが、そのうち虎の紋様の入った金牌、獅子型の金箔の飾りなど獣面紋様の装身具は、紀元前三世紀から紀元四世紀にかけスキタイに代わって南ロシアを支配したイラン系遊牧民であるサルマタイ独特の動物紋様との共通性がみられ、関係が示される。
 また、同時に鳳凰紋様の絹の刺繍も発掘されており、中国との関係も明らかである。
 炭素一四の測定から中国の戦国時代から前漢時代のものだとされている。また、埋葬されているのは、民族的には、当時トルファン盆地に勢力を張った車師人ではないかと想像されている。
 現在、墓は、保護のため埋め戻されている。 

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