中国の旅行,四川の旅行,九寨溝|チベット

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重慶四川料理三昧の旅

     私は四川料理に携わって十七年程料理人をやっているのですが、最近、四川からの流通も盛んになり、必要な食材や調味料が手に入り安くなってきたように感じています。日本の四川料理界自体が変わりつつあるように思うのです。 「四川名菜」は中国料理全般から見ても多く、日本でも馴染みのある料理名を上げる事ができます。麻婆豆腐、干焼蝦仁、魚香茄子、回鍋肉片、宮保鶏丁尊など。
 しかし現実には日本の調味料と食材しか使えず、アレンジきれた料理が多く、その為「日本の中国料理」が確立されていったように思います。
 
   香港、上海は中国の都市の中でも別格で、食の発展も目覚ましく料理人としては気になるのですが、今年は二年ぶりに重慶に行くことを決め、四川料理を再確認する旅に出ました。
 四川と言えば、中国随一の穀倉地帯であり、農畜産物が豊富な為「天府の国」とも言われています。成都、重慶を中心に発達した四川料理は調味料も多彩。唐辛子もホオズキに似た形の(朝天椒)の乾燥物や、山椒(花椒)も薄紅色に熟した風味の強烈な(川椒)の新物などは質がよく独特な使い方で知られています。また、薬膳の宝庫としても有名で、その豊富さや使い方は「百菜百味」(百の菜には百の味がある)と言う言葉に、素直にうなずく事ができます。
 
 初日はまず、重慶名物料理である重慶火鍋を食べに行くことにしました。
 火鍋の店名は「小天鶴巴渝食府」。以前食べた火鍋は、煮出した唐辛子などの香辛料を漉さずそのまま鍋で煮ていた為、食べている最中にも辛きが増し、唇が腫れ上がった経験があります。その為注文も慎重に。
 最初に家鴨を丸ごとスープで煮出してコクを出し、香辛料などの煮出した汁もいったん漉してから使っているため、全体に旨みが増し、まさに絶品。しかし、辛さの度合いは重たい程で、食べ終わった項にはTシャツ一枚に。
 
 そして毎回、火鍋の食材には中国大陸の凄まじさを感じることができます。
 今回も品数だけでも四十皿は出てきたと思います。アヒルだけでも舌、肉、腸、砂肝から血を固めた物までと、七皿はありました。アヒル自体の独特な臭みも無く、濃厚で、中でも腸は歯ごたえもよく、病み付きになりそうな美味しさ。日本の鍋の食材の少なさを考えると実に贅沢なのです。
 翌日からは重慶で流行っている四川料理店を何軒もはしごしました。中でも二軒はいつ行っても満席で、一時間程待つことに。しかしさらに四川料理の魅力にとりつかれてしまうような、そんな料理を食べることができました。 一軒目に紹介するレストランは「陶然居」で、長江沿いのレストラン街の支店に。四階建てで二千人は収容できるようなレストランでも、道路までテーブルを出しても人が溢れていました。景色も香港にも劣らぬ絶景で、重慶の都市の勢いを感じるのです。
 
 ここは回螺(たにし)料理が有名で、唐辛子と花椒の使い方が日本では考えられないような使い方をされています。お皿に溢れるほどの量でも、きほど辛くなく、ほのかに唐辛子の甘い香り…。香辛料の使い方が絶妙な加減で上手いのです。
 単純な野菜の炒めにしても実に美味しい。お馴染みの回鍋肉も肉が柔らかく、種類も豊富で美味。商品名は同じでも、見た目も味付けも異なる本場の中国料理は確実に進んでいるのです。その要因には、やはり豊富な食材が安価に入り流通までも豊かになったからだと思います。
 
 二軒日に紹介するのは「陳川奥大酒楼」。一日中、数種類の煮出したスープが店の入りロに沸かしてあり、食欲をそそる香りが店じゅうに漂う…。ここでは辣子牛串やBB鶏丁など、数種類の作り方を料理長とマネージャーが快く教えてくれました。ここで私は本場の四川料理の技術の高さを経験することに。
 そして「今の四川料理は驚くほどの早さで進化している」そんな話をしてくれました。その要因は情報の提供やサービス面での向上から来ているそうです。このお店は毎月メニューが変わるそうで、研究に余念が無いのでしょう。
 
 最後になりますが、重慶に限らず中国の屋台はいつどこで行っても楽しい。今回は繁華街から少し離れた寂れた屋台街に一人で出かけてみました。発音で日本人と解ったのでしょうか。気軽に話しかけられ、気が付けば四人で火鍋を囲み、その回りにも五、六人…。ビールも散々飲んで食べて。
 知り合ったばかりの仲間が奢ってくれると言ってはくれたのですが、支払いは二十八元!日本円で四二〇円だったので私がおごることに(笑)。屋台は料理だけでなく、人の触れ合いを重視する素晴らしいもので、日本でも中国でも無くてはならないものだと改めて痛感しました。
 
 最近の中国は十年程前の様な、不衛生でいい加減な田舎っぽいイメージは無くなり、感動に満ちた旅が多いです。毎回、中国を旅して感じる事は、中国料理を理解するには技術を極める事だけに終始するだけでなく、その原点にある中国の食文化に触れ、見聞を広める事を忘れてはいけないということと思います。
 今回の旅でも沢山の友人ができました。祁さん、李さん、除さん、また会える日を楽しみにしています。次回は成都に行く計画を立てているところです。
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