~四川省のシャングリラ~
稲城――古名を“ダッパ”と言い、チベット語では「山間に開けた地」の意味。稲城県は四川省西南部の端、ガンゼチベット自治州の南部に位置し、海抜は2000~6032mと同じ県内で実に4032mもの高低差がある。中心街の海抜は3750m。稲城の東南部は涼山州木里県に接し、西は郷城県と雲南省の中甸に隣接、北はガンゼ州理塘県に連なる。康定からの距離は432km、成都からは800km、雲南省の中甸からは330km。
稲城高原は貢嘎山と海子山が連なる山脈から出来ている。二つの大きな山脈は南北に位置し、山間部は実に稲城県全体の三分の一を占めている。その地形は北高南低、東高西低、起伏が多く、山は幾重にも連なって続いている。稲城県内には稲城河(海子山西南麓が水源。全長121km)、赤土河、東義河(俄初山南麓が水源。全長111km)という三つの大きな河川があり、更にそれらからはいくつもの支流が延びている。
稲城県の人口はおよそ三万人で、そのうちの96%以上をチベット族が占め、その他にも漢族、ナシ族、回族、イ族などが住んでいる。
高原には丘状地や岩盤が氷に浸食されて出来た窪地、陥没地が多い。これが中国最大の氷山の遺跡;稲城の古い氷帽子である――果てしなく広がる海子山草原の到る所で氷に浸食された岩盤が見られ、また湖も広く分布している。中国ではその規模、数量ともに唯一無二とされ、“第四紀氷河地形の重要基地”である。
海抜5140mの俄初山はチベット語で“閃光の山”という意味である。高く険しく力強く聳え、しかしその姿は気高く美しい――それはまるで見目麗しい神仙が虹の上に端座しているかのようであると言う。亜丁自然保護区は三つの雪山に支えられており、周りを囲む氷雪は雄大壮観である。そして、その足元には聖湖;珍珠海、牛奶海、丹増拉海がまるで宝石のように輝きをはなっている。