九寨溝は、四川省の省都である成都の北400kmに位置する秘境である。4000mを越す深山と原始林を背景に、宝石のような大小100余りの澄み切った湖沼と渓流、瀑布が延べ50kmにもわたって連なり、森にはパンダや金糸猴が棲み、「童話の世界」とも「神話の世界」とも言われる景勝の地である。谷(溝)に沿って九つのチベット族の村落(村寨)があることから九寨溝と呼ばれる。
九寨溝は、1970年代に森林伐採の労働者によって偶然発見され、今や中国では有名な観光地となっているが、日本ではほとんど知られていない。交通も成都からバスで二日がかりでやっと谷の入り口にたどり着ける辺境にあり、つい最近までは道路も舗装されていなかった。現在は、道路は完全舗装され、宿泊施設も整備されつつある。
四川省の西北部にある九寨溝は、原生林が生い茂った50キロほどの渓谷に、大小100あまりの湖沼や瀑布が点在する景勝地です。付近にチベット族の村落である「寨」が9つあったことから九寨溝と名付けられました。140種類もの鳥類や、ジャイアント・パンダなどの危機に瀕している動物たちが生息する場所としても知られています。
「シリーズ世界遺産100」では、九寨溝の美しくも不思議な風景を、それがどのようにでき上がったのかを解き明かしながら見てゆきます。4000メートルを越えるこの山岳地帯は、およそ2億5千万年前に海底が隆起してできました。氷河期の終わり頃、氷河は前進と後退を繰り返し、山の地面を削りながら消えて行き、あとに岩石や土砂の堆積物が残されました。そこに大量の石灰を含んだ地下水が湧き出し、石灰が堆積物に付着した結果、棚田のような湖沼の連なりができたと考えられています。透明の湖底には、樹氷のような「石灰華」が横たわっています。これは倒木に石灰が付着してできたものです。石灰は森の形成にも重要な役割をはたしています。堆積物に石灰が付着して出来た堤には、無数の小さな穴が開いています。そこに樹木の種子が引っかかり、激しい流れの中でも、根付くことができるのです。木が育つとその周りにさらに石灰や苔がつき、そこに植物が生えて森が広がっていきます。大自然は、人間の想像をはるかに超えた造形を生み出す、天才芸術家です。
九寨溝の気候
| 月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 |
| 平均温度 (℃) | -1 | 2.5 | 4 | 8.7 | 11 | 14 | 17 | 16 | 12 | 8.3 | 2.4 | 2.3 |
| 平均降雨量 (mm) | 15 | 24 | 36 | 43 | 87 | 96 | 104 | 82 | 76 | 53.2 | 26 | 18 |
